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2016年12月23日金曜日

出戻りさんの修理

12月初旬にお客さまにお返ししたアンプが出戻ってきました。

理由は
(1) トレモロの揺れに呼応したノイズが出る
(2) しばらく使うと電源スイッチの温度が上がる
(3) Treble ポットにガリが出る
(4) 以前ならVolume ポットの目盛り 1 からすぐに音が出たが今は 2 を超えないと音が出ない

です。

アンプのオーバーホールをしてからまだ間がないため全て保証修理(無料)で行います。

順番に問題を解決していきます。

【1】トレモロの揺れに呼応したノイズが出る

これは Intensity を絞ってトレモロの音は出さない状態で単に Volume ポットだけを上げるとボツボツというノイズが聴こえるという症状です。このボツボツの間隔が Speed ノブに連動して早くなったり、遅くなったりするものです。
前回の出荷前テストで V4 真空管の交換をしたら出なくなり、出荷したらお客さまのところで再発したものです。

このノイズはトレモロの発振回路の揺れがそのままノイズとして拾われているということです。

前回のレストア時、トレモロのスピードをオリジナルよりも遅くするために揺れを作り出す回路に使われる3個のカップリング・コンデンサーの値をオリジナルよりも大きくしていました。
値が大きい分コンデンサーの物理的な容積も大きくなります。
そしてその容積が大きい分近くの部品に揺れの信号を寄生させている可能性があります。

下の写真のオレンジ・ドロップ x3個が対象のコンデンサーです。

3 orange drop of Tremolo circuit 
この3つのオレンジドロップをオリジナルの値のセラミックコンデンサーに変更しました。
同時に、いままではオレンジドロップの影に隠れていたカソードにつながる 1MΩ抵抗をコンデンサーから引き離し、抵抗の足にテフロンの皮膜をつけ、寄生されにくい配線状態にしました。

Reworked Tremolo circuit. Orange drop was replaced with ceramic cap
上の作業でノイズが消えました。過ぎたるは及ばざるが如し。お客さまを喜ばそうと、色気を出し、オリジナルよりもトレモロを遅くしようとしたことが裏目にでてしまいました。こういう余計な事をしてしまうバカな私です。オーバーホールでは修理することだけに専念すりゃいいのです。反省。



続いて、
前回、真空管交換をしたら一旦ノイズ消えたことに着目しました。
真空管交換により何が変わったのか? ソケットとピンとの接触状態が変化したら出にくくなったということ。そしてしばらくパワーオンすると再発した。つまりソケットと真空管の接触部が不安定であり、長い時間パワーオンして熱が加わると真空管とソケットの接触状態が変化したかもしれない。
これは推測でしかありません。
しかし、このアンプは回路ボードを新しく作り直さないといけないぐらい接点復活剤の嵐に吹かれていました。今付いている真空管ソケットはクリーニングしたものの交換しておらず、目に見えにくい部分で絶縁不良が起きているかもしれません。
不安のタネを抱えたまま出荷し再々修理となることはお客さまのてめにも避けるべきです。
予防交換の意味も含めて真空管ソケットを交換しました。
Tube socket of V4 
新しいV4 真空管ソケットが下の写真です。
V4 socket replaced with the new one
【2】しばらく通電すると電源スイッチの温度が上がる
温度が上がるといっても少し暖かい感じです。

今までお客さまがお使いになっていた+B 電圧は375VDC ( トランス2次電圧 275V)だったのに比べて現在はおよそ440VDC( トランス2次電圧 340V) に上がっています。6V6GT の耐えられるギリギリの電圧です。パワー管と整流管の発する熱量は格段に増えます。当然これらの近辺に位置しているスイッチ類は真空管の熱により少し温度が上がります。

かといってこれを放置してそのままお返しして何らかの問題が出ては困ります。
あらゆる可能性を排除しておこうと思いました。
スイッチが発熱する場合、配線がイモハンダであったり配線の取り回しが良くないことがあります。
全て検査したところ問題は見つかりません。

唯一残ったのは整流管のソケットです。先般交換した V4 ソケットと同じく、クリーニングして配線しており、交換はしていません。
Socket of rectifier tube
絶縁劣化の起こりにくいセラミック製のソケットに交換しました。
New ceramic socket of rectifier tube
次にバイアス回路が不安定であるとパワーチューブの温度を上げたり、バイアス回路そのものか発熱することがあります。オーバーホールしているものの、バイアス回路のボードは以前付いていたものをクリーニングして配線しています。
Bias circuit
新しく素材からバイアス回路ボードを作りました。
Bias circuit board
下の写真の左がクリーニングして再配線したボード。右が新しいボード。
Comparison between an old board and new one
新しいボードに新しい抵抗、ダイオード、コンデンサーで再配線しました。
New board new parts re-installed


Ventilated hole cap
【3】 Treble ポットにガリが出る
前回の出荷時にトレブルポットにガリは出ていませんでした。お客さまのところでしばらく使っていたらガリが出たということです。下の写真は古いポットと新しいポットを並べたものです。古いポットが後、新しいポットが前です。古いポットは接点復活剤が絶縁部分(茶色)にしみこんでテカリが出ています。
Old pot ( rear ) , new pot ( front )
ポット交換してガリは無くなりました。

【4】以前ならVolume ポットの目盛り 1 からすぐに音が出たが今は 2 を超えないと音が出ない

レストア前はスイッチ付きの1Mポットが付いていました。スイッチは不要というご要望であったため、新しい CTS ポットに交換して出荷しました。しかし、今度は立ち上がりが気になるとのこと。
たまたま古いポットをお返しするのを忘れており、手元に残っていました。
古いポットを取り付けて音の立ち上がりを見ると、確かに早い段階で音圧が高くなります。
2つのポットの抵抗値を計測するとボリューム目盛りの2の位置の立ち上がりは現行CTS の方が遅い。Aカーブとしては理想の立ち上がりです。古いポットは B カーブ寄りです。
つまり年数がたち CTS がAカーブをよりLOG に近づけた仕様変更により、音の立ち上がりに差が出たということです。
しかし、古いポットはガリがひどい。ガリをとるのか立ち上がりをとるのかといえば、ガリは無いほうが良いはず。
今度はロットの異なる新しい CTSのポットを取り付けました。ロットが変わっても新しいポットの立ち上がりは同じ感じです。

Old pot ( rear ) new pot ( front )
【5】バイアス・チェックと試奏
バイアス回路のボードを新しくし、部品も新しくしたため、バイアスチェックを実施しました。
値は正常でした。

しばらく試奏をしてノイズやガリが出ないことを確認し、再度お客さまに出荷しました。
今頃はお客さまが試奏なさっていると思います。

Bias Check



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