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2015年8月30日日曜日

65 Deluxe Reverb の Hand Wired 化


岐阜県にお住まいの T 様所有の Fender '65 Deluxe Reverb の Handwired 化を 08月30日 からスタートしました。
(a) 基板を取り除いて Point to Point 配線で仕上げていきます。
(b) POT は 9個とも基板用 ( PCB 端子 ) のためこれらも CTS に全交換です。 
(c) 同時にトランスは全て Mercury に載せ換えというご要望です。
スピーカーはお客さまで既に Tone Tabby に交換されています。
スピーカーケーブルもお客さまで WE 復刻版に交換されています。

追記 09/04

1. 基板の取り外し

基板(PCB)取り外し
まず上の写真のようにアンプ本体のシャーシーを外した後、基板と真空管ソケットをつなぐ配線約40箇所のハンダを外します。次に基板を取り外します。ポットは全て基板に取り付けられています。
前面パネルのナットを外しただけでは外れず、基板と一緒に取り外します。

2. トランスの取り外し
PT, CT, OT を外したところ
 トランスの配線を外した後にトランスを全て取り外します。
PT=電源トランス、CT= チョークトランス、OT= 出力トランスです。

3. 回路ボードの製作
回路ボード( 左上=バイアス回路、右上=フィルターキャップ、下= メイン回路 )

基板とトランスを取り除いたシャーシーに合うようにハンドワイアードで取り付ける回路ボードの作製を行ないます。
部品相互の隙間の距離、部品とポット間の距離( 配線の長さ)、部品と真空管ソケット間の距離(配線の長さ) が最適となるように配置を考えながら設計します。

一口にハンドワイアード化するといってもキット、穴あき済みのボードがあるわけではなく、全て一から手作りで作製します。市販の穴あき済みのボードはリイシューのシャーシーの部品配置を考慮しておらず、使い物になりません。

写真の白色の紙に部品配置を手書きし、その紙をボードの材料に載せ、紙の上から穴あけします。
・ボードの材料は絶縁性のあるプラスチックの板の上下を紙材ではさんだ物で板厚は 1/16 インチ
・ボードに開ける穴の径は 1/8 インチです。

2015年8月20日木曜日

ツイード・チャンプ・アンプ Fender Tweed Champ

私のウェブサイトに Fender のギターアンプのうち ブラックフェース とシルバーフェースについて詳しく解説しています。参照URL: http://www.eonet.ne.jp/~amp83/tech.html#info2 

このブログではFender の Tweed Champ に焦点をあてて少し解説しておきます。
その回路の特徴と音質について、かいつまんで解説します。
その他の詳細な情報は ampwares を参考にしてください。
ampwares のURL: http://ampwares.com/page/2/?brand=fender&line=champ

【1.】ツイード・チャンプ Champ  5C1, 5D1, 5E1, 5F1
回路図は 5C1 から 5F1 まであります。1950年代初頭から後期まで 4種類の設計の違うアンプがあります。

〔4種類の共通部分〕
・整流菅が5Y3 であること
・パワー菅が6V6 x 1本のシングルアンプであること
・パワーアンプはカソードバイアスであること
が5C1 から 5F1 までの共通部分です。

キャビネットの大きさ、板の厚み、スピーカーの種類・大きさ、出力トランス、プリアンプ部分が異なり、ひとくくりにツイードチャンプといっても音が大いに異なります。

では5C1, 5D1, 5E1, 5F1 の各々の特徴は、以下に述べます。

【5C1 の特徴】1953-1955
・プリ菅: 6SJ7 x1
・スピーカー 6インチ x1
・出力 4W
最近、ちょくちょく修理依頼が来るようになった 5C1 チャンプです。
その最大の特徴は、音が小さいことです。完璧な状態の回路を試奏すると
ほんまに音が小さい!!!

スピーカーが6インチと小さく、出力4W に見合った小型の OT ( 出力トランス ) であることなどが
音が小さいことに寄与しています。

ところが増幅回路の観点から、もうひとつ特筆すべき大事な部分があります。
それはプリアンプの回路です。プリアンプの増幅段が一段しかないのです。
5E1以降の機種は増幅段が2個あります。
6SJ7 という真空菅、ソケットは8pin OCTAL でパワー菅と同じソケットです。
ところが、この6SJ7には増幅素子が一個しか入っていません。

ギターの信号→〔プリアンプ増幅〕→ボリューム・ポット→〔パワーアンプ増幅〕

という超シンプル構造なんです。
そのサウンドは、おとなしい。ボリュームを上げても、うるさいというレベルにはこない。
コード弾きのときの各弦の分離感は「まあまあ」。決してきれいに分離するわけではありません。
しかし、分離感が悪いとまではいかないレベルです。
これはプリアンプで中域を削る加工をせず、そのままパワーアンプにつなげるという回路のツイード・アンプ全般の特徴でもあります。

JPEG 5C1
Champ 5C1 のリアビュー

【5D1 の特徴】
回路図がなく、また実物にお目にかかったこともなく、ここではスキップします。
5C1 と、酷似しているということでお茶を濁しておきましょう。
ampwares では 5C1 と 5D1 を同じ扱いにしています。

【5E1 の特徴】 1955-1956
・プリ菅: 12AX x1
・スピーカー 6インチ x1 もしくは 8インチx1
・出力 5W
5C1 と比較して、最大の特徴は、なんといってもプリアンプが 6SJ7 から 12AX7 になったことです。
12AX7 は 9 pin の小型ソケットを使います。その小さなガラス菅の中に増幅素子が2個入っています。
ギター信号はプリアンプ増幅を2回行なってから、パワーアンプに送られることになりました。

ギターの信号→〔プリアンプ増幅〕→ボリューム・ポット→〔プリアンプ増幅〕→〔パワーアンプ増幅〕

パワーアンプは同じ 6V6 であるのに、プリアンプから送られてくる信号は 5C1 のときよりもはるかに大きな信号が送られることになりました。
5C1 に比べると明らかに音圧が高まっています。さらに、ボリュームを上げていくと、いわゆるパワーチューブの歪みが得られます。
しかし、歪み過ぎて何の音かわからなくなってしまうようなアンプの電気的な暴走を防ぐために NFB ( Negative Feed Back ) が付けられました。

後述する、5F1 ととても似通った回路をしています。回路図を漫然と眺めると、おんなじかなと勘違いしてしまいそうです。しかし、5F1 と明らかに異なる部分があります。
それは 「チョークインプット」という整流方式を使っていることです。

整流菅というのは交流を直流に整流する機能を持っています。しかし、整流菅単体だけでは完全な直流は作り出せません。整流菅の直後の電圧は脈流といわれる、デコボコした波形です。ここにコンデンサーもしくはコイルをつなぐことで、デコボコをならす必要があります。
コンデンサーをつなぐ方式を「コンデンサーインプット」と呼び、コイルをつなぐ方式を「チョークインプット」と言います。
5C1 と 5F1 はコンデンサーインプット方式であり、5E1 だけがチョークインプットです。

この違いが音の差となります。
チョークインプット方式のアンプの場合、ガツンとギターの弦を弾いたときのレスポンスがスポンジー( やわらかく) に感じます。コンデンサーインプット方式のアンプはガツンという感じがダイレクトに出力されます。
ギターアンプではコンデンサーインプット方式が大勢を占めます。オーディオ・アンプではチョークインプットはいまだに使われます。ギターの弦を弾くときの激しい音圧差を表現する必要はなく、むしろチョークインプットのハムノイズの少なさのほうに着目して使われているのだと推測します。

チャンプ以外のツイードでもこのチョークインプットは使われています。
Bassman 5E6-A,   Twin 5E8-A などです。
クラプトンやキースリチャードの要望でFender が作ったと言われている近年版の 57 Twin も revision A の回路図( Schematic )ではチョークインプットです。
〔少しだけ脱線〕
近年版の Fender アンプはこの revison の違いにより回路がかなり異なるので要注意です。
Vibro king や Tone Master の Revision A は良い音のアンプです。しかし、Revision を重ねる度に改善とはいいがたい変更が入れられているように感じています。( Revision B 以降 )
ではその Revision の見分け方ですが、残念ながらただひとつだけです。ご自分のアンプの回路を回路図と照らし合わせるしかありません。
また暇ができたときに VibroKing と Tonemaster の Revision 毎の差についてはお話します。
〔話を戻します〕
コストの面でいうと、チョークインプットに使うトランスは通常のCT ( チョークトランス) に比べると高価です。( 話が長くなるので、通常にのCT の詳細説明はどこか後で行います。)
アンプの増幅に使う全ての電力を通すだけの耐電力がチョークインプット用のトランスには必要です。
興味のある人は参考までにノグチトランスのホームページでチョークインプット用のトランスのお値段といわゆるチョークトランスのお値段を比較なさるとよいでしょう。


【5F1 の特徴】 1956-1964
・プリ菅: 12AX x1
・スピーカー 8インチx1
・出力 5W
ツイードチャンプといえば 5F1 回路が有名です。デレク・アンド・ドミノスのアルバム「レイラ」でのクラプトンのプレーで有名なアンプ。レコード( 私はCD ではなくレコードで持っています ) を聞くと、小さめのスピーカーで歪んだ音のリフが聴こえてきます。あの音です。
回路はほとんど5E1 と同じ。一ヶ所だけ整流菅のインプット方式がコンデンサー・インプットであることが異なります。

サウンドは 5E1 よりもパワフルです。パワーチューブの歪みもよく出ます。

私個人的には、あの歪みやすさは使いずらいです。クラプトンのプレーをするにはいいんですが、クラプトンほどの腕はありません。むしろ、もっとクリーンに鳴らしたいときにつらい。テンションを含んだコードを弾くと弦の分離がよくありません。

近年版の Hand wired の 57 Tweed Champ も 5F1 回路のデッドコピーです。
音も似たような感じに良く歪むアンプです。
JPEG Kendrick Champ
Kendrick Champ circuit



【2015年11月追加記事】

a) 5F1 に使われている真空管は全部で 3本です。
5Y3GT : 整流管、交流を直流に変換し、アンプのエネルギーを供給します。
6V6GT : パワーアンプ、出力トランスを介してスピーカーを鳴らします。
12AX7 : プリアンプ、ギターの信号を増幅し、Volume で調節した後パワーアンプへ送り出します。

このシンプルな構成のメリットのひとつは、
真空管のメーカーによる音質・音圧の差を聞き分けやすいことです。
JJ, EH, Tungsol などなど様々な現行メーカーの真空管の音を聞き分けて自分なりの理解を得るのにとても重宝します。
真空管だけでなく、スピーカーケーブルも顕著に音の違いを聞き分けることが可能です。

もちろんスピーカーのメーカーによる違いを聞き分けることが可能です。
ただしスピーカだけはインチの違いによって同じメーカーでも異なった感じになります。
そのため、チャンプの 8インチでよいからといってデラリバ 12インチにも通用するかといったらそうとはならない可能性があります。注意してください。
JPEG Testing Speaker
ツイード・チャンプで SF チャンプのスピーカーを鳴らしているところ


b) チャンプはツイードもBFもSFもパワーアンプは自己バイアスです。
パワーアンプのバイアス調整は不要。
今ついてるメーカーと異なるメーカーの6V6GT 真空管を入れても、動作が不安定となることはありません。当然ですが、音質や音圧は変化します。

だからといって 6V6GT よりも増幅率の高い 6L6GC を使う時には注意が必要。
出力トランスと電源トランスに余裕があること。
新しいマーキュリートランスを使っている場合は、許容の範囲です。
しかし、とても古くなったヴィンテージのトランスをそのまま使っているときはトランスは老朽化しています。出力の高い真空管の電気ストレスにより、ヴィンテージ・トランスが壊れることもあります。

c) ブラックフェースやシルバーフェースとの違い。特に音に影響する部分
① 出力トランスの特性が異なります。
② プリアンプ回路。Trebleや Bass のポットで削られない分ゲインが高い。
③ NFB の値がちいさい。
  NFBを大きくするとアンプは安定するかわりにおとなしくなります。
  NFB が少ないことで元気のある音になります。
JPEG SF Champ
SF Champ


【2】それで……
5F1 の長所でもあり、短所でもある「歪み易さ」「簡単にひずんだ音が出る反面高い音圧でクリーン音は出しにくい」を改善したシングルアンプが GAMPS の開発する次期 オリジナルアンプです。

そのうちご報告します。
JPEG Original Amp
オリジナルのシングルエンデドアンプのプロトタイプ